前回に引き続き、古典落語「鼠穴」についての記述になります。
商売の元手に、たったの三文しか包んでくれなかった兄と十数年ぶりに再会を果たす竹次郎。
今ではすっかり大店の主として、奉公人も多数、雇っていました。竹次郎は番頭に三文と借金の利子として二両を包ませます。
一種の意趣返しに見えなくはありませんが、やはり元手は元手。ちゃんと返そうということで、支度を整えますが、その際に竹次郎は番頭に土蔵の目塗りをしっかりしておくようにと言いつけます。
当時の江戸を象徴する文句があります。
「火事と喧嘩は江戸の華」有名な文句ですね。一度は聞いたことがあるかもしれません。昭和の頃になると、「地震・雷・火事・親父」と言われたように、江戸時代では華と言われるように賑やかな印象を受けますが、昭和になると、怖いものというように挙げられます。
この火事というのは、粋な江戸っ子からすると、華やかなものでしたが、商人からすると、これほど厄介なものはありませんでした。
何故なら、当時の江戸は基本的に木造建てですから、火事に弱いのです。
折角、商売で大儲けをしても、火事が起きて、全部焼かれてしまっては元も子もありません。ですから、大金持ちになるほど、耐火性のある土蔵を建てて、火事から財産を守ったのです。
ところが、折角の土蔵も鼠(ねずみ)などの動物が、土蔵に穴を開けたりするので、隙間ができてしまいます。この隙間を「鼠穴」と呼びます。そこで、目塗りといって隙間を練土で塞いて、火の手が蔵の中に入らないように工夫をしていたのです。
その指図を竹次郎は番頭にしたのです。
「番頭さんや、今晩は風も強いから、土蔵にはしっかりと目塗りをしておくんだよ」
こうして、竹次郎は久方ぶりに兄のお店を訪れます。
兄も弟が商人として成功したことを知ると大喜びです。しかし、竹次郎としては大事な要件を伝えなくてはなりません。
「兄さん、今晩は兄さんに大事な用があって来ました」
竹次郎は、三文と二両の入った包みを兄に渡します。兄としても、その中身で要件が分かります。竹次郎は複雑な思いで、感謝の言葉を述べます。
それを感じ取った兄は竹次郎に告白をします。
「竹や、お前は三文を貰った時、さぞ腹が立っただろうな。わしが何故にあの時、三文しか包まなかったか分かるか?」
兄からの問いに竹次郎は答えられずにいると
「あの頃のお前には、遊びの酒が染み渡っていたんだ。だから、お前に一両でも十両でも包んでやったら、お前は残らず遊びに使ってしまうだろ?一からやり直す苦労を知らない奴は何をやっても上手くいかないものだ」
と竹次郎は兄の真意を知り、恥ずかしさのあまりうなだれます。「そうだったのか・・・だから三文しか」竹次郎は一時でも兄を憎んだ自分を情けなく思いますが、そんな竹次郎に兄はまだ、気持ちが晴れないなら・・・と頭を下げます。
「よして下さい、兄さん。兄さんの気持ちに気づかなかった私が悪かったのですから・・・」
と晴れて仲直りを果たした兄弟でした。
すっかり打ち解け、機嫌を良くした兄は竹次郎に「今日は泊まっていけ」と勧めますが、竹次郎は火事のことが心配で早く帰りたいのです。それを打ち明けると兄に
「な~に、心配することはない。もしお前が火事で焼け出されるようなことがあったら、わしの店をそっくりそのまま、お前にくれてやる」
と言って酒を勧められ、すっかり寝入ってしまう竹次郎でしたが・・・。
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